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第12回金融研究会 /TCERセミナー(共催)を開催しました。

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日時:11月14日(木)17:15~18:45

報告者:鯉渕 賢氏(中央大学)後藤 瑞貴氏(一橋大学大学院)

報告テーマ:Cross-border Mergers and Acquired Business Performance

(論文要旨)

本研究では、日本の大手医療機器メーカーによる2000 年以降の主要なM&A 事例に着目し、これらのM&A がどのような経営環境の下でどのような経営目的の達成を意図して実施され、実際に医療機器メーカーの企業構造にどのような変化をもたらしたか、そしてその変化が企業の短期及び長期のパフォーマンスにどのような影響をもたらしたかを明らかにすることを目的とする。まず、日本の医療機器企業がこれまで実施してきた重要なM&A の背後にあった経営環境や経営戦略を知るために、インタビュー調査によるケーススタディを実施した。さらに、有価証券報告書に記載されている事業セグメント情報と地域セグメント情報を用いて、セグメントを単位とするデータベースを構築し、日本の医療機器産業における医療機器事業の成長性と収益性の特性と、それが近年のM&A によってどのような影響を受けたのかをパネルデータ分析によって明らかにした。

本研究で得られた主な結果は次の5 つである。第1 に、日本の医療機器企業の医療機器事業は、他業種に属する事業と比較して、高い売上高成長率と営業利益率を示している。中でも治療機器事業はさらに顕著に高い営業利益率を示している。第2 に、日本地域と比較して、米欧地域とアジア・その他地域は顕著に高い売上高成長率を示している。第3 に、インタビュー調査によれば、日本の主要医療機器企業は産業特性を踏まえた、整合的な経営戦略の下で近年のM&A を実施してきたと理解可能である。第4 に、日本の主要医療機器企業による近年の主要なM&A においては、買収直後に短期的に大幅な売上高の増加が観察される。一方で、営業利益率は買収後の長期に渡って低下する負の影響が観察される。最後に、積極的かつ大型のM&A によって既存の主要事業の周辺領域や海外市場に成長機会を求める企業がある一方で、大型のM&A を実施することなしに、極めて高い売上高成長率と高い営業利益率を同時に両立する日本の医療機器企業も存在している。

 

 

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